吸血鬼と紅き石
第十五章

闘い

ざしゅり。

男の放った力がレンバルトの頬に一筋の深い傷を付けた。

傷口を拭えば、赤い滴りが指を濡らす。

「オルフェルトを殺して瞳を奪って―――どれだけ力をつけたかと思ったが…この程度か」

興醒めだよ、と呟くレンバルトが、今度は力を揮う。

見えない刃となったその力は、ザーディアスの喉を切り付けた。

ぱっくりと―――喉の半分ほどが裂け、闇にその傷口を晒す。

ザーディアスの唇が、呪詛の形に動いて歪んだ。

だが地を震わせるような声は漏れない。

レンバルトの揮った力が、喉ごと声帯を断ち切ったからだろう。

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