吸血鬼と紅き石
それでも起きない少女に焦れたのか、今度はすぐ耳元で甘い声がする。

「起きねぇなら…このまま食っちまうぞ?」

耳元で囁いて―――最後に吐息が甘く耳元を擽る。

「―――ッ!」

その刺激に一気に眠りの淵から連れ戻された少女は、耳を押さえて跳ね起きた。

そのまますぐに、自分のその様子を声を殺して笑う青年に気付いて睨み付ける。

「悪い悪い…そこまで敏感だとは思わなくてな」

笑いながら謝る青年からは、誠意というものが感じられない。

それに何が敏感なのだ。

誤解を招きそうな言動は控えて貰いたい。



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