奇跡をあなたに

でも、おじいさんと話した日の事は私の大切なものとなった。
おじいさんがこの世からいなくなった事は、とても悲しかったけど、精一杯生きていたんだと思った。


私にも、人に感謝されるんだと思えた。

おじいさんと出会えた事で、私は少し強くなれた気がした。

もっといっぱい話したい事もあった。

私もおじいさんに“ありがとう”って言いたかった。

だから私は、河原から空を見上げ、おじいさんに届くように祈りながら話した。


『おじいさん。ちゃんと天国に行ってる?突然いなくならないでよ。私、1人にまたなっちゃった。私、おじいさんの名前も知らなかったんだね。変だよね、おじいさんも私の名前知らないよね?
私、“幸”ってゆうの。おじいさんと出会えて私もよかった。ずっとずっと誰かに話を聞いてほしかったの。本当にありがとう。
でも、今考えるとおじいさんの話何も聞いてあげれなかったね。
ごめんなさい。

また、いつか会えたらいいなッ。
その時はまた私の話聞いてね?
おじいさん、本当にありがとう。』

私はそれだけ言って河原から離れた。


きっと、おじいさんに届いてるよね?


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