恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~
「あ。よくお分かりですね。
そうなんですよ。
少しかじっていて、あんな弟ですが歌を贈ろうと思って・・・」
「え、ご自身で歌われるんですか?」
「いえ、いえ。
歌は別のものが・・・
私はギター担当なんです。」
そう言って彼もエレベーター表示を見つづけた。
あの時も「先生」はギターを弾いてくれた。
私だけではなくみんなの前で。
一段と「先生」の存在が大きくなったんだ。
私だけじゃない、
みんなの「先生」だったね。