夢みる蝶は遊飛する

隠された真実


気づいたら、もう翌日の夜だった。

もうすぐ通夜が始まる。

あの後自分がどうしていたのか、ほとんど覚えていない。

けれど身体の疲労感や倦怠感、そして自分の精神状態から考えると昨晩も眠れたはずはない。

ここ数日、ろくに食事をとっていない。

食べても吐いてしまう。

だから昼も夜も、何も口にしていないはずだ。

そのせいなのか何なのか、身体が重く感じられ、頭がぼうっとして目が霞む。

ものを考えることもできない。


「亜美さん」


喪服を着た夏希さんが私を呼んだ。

彼女の顔色も、すこぶる悪い。


「もうすぐ始まるから」


母の葬儀は密葬だったし、私はそれ以外の葬儀に参列したことはない。

急な訃報にも関わらず、多くの人が訪れたその会場の雰囲気に飲み込まれてしまいそうだった。

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