夢みる蝶は遊飛する


  白玉か

   何ぞと人の
  
      問ひしとき

  露とこたへて
    
    消えなましものを


訳:真珠ですか、なんですかとあの人が聞いてきたときに、露だよと答えて私が露のように消えてしまえばよかった。(そうすればこんなに悲しい思いをせずに済んだのに。)



実はこの内容は前の学校で一年生の頃に既に学習していたため、今回で二度目である。


けれど、佐竹先生の教え方はとてもわかりやすかったため、無駄ではないと思った。

身振り手振りを交え、感情を込めて歌を詠むので自然に記憶に残るのだ。



・・・まあ、彼には関係ないのだろうけれど。



そう思って隣の机に目を向ける。

そこには机に突っ伏して寝ている色素の薄い頭がひとつ。



・・・ずっと寝ている。



私が以前通っていた学校だったら、問答無用で怒鳴り起こされているだろう。

たとえ運動部で朝練のせいで疲れていたとしても、授業で寝ているのが見つかれば厳しい叱責が待っている。

もちろん部活の顧問にもその旨を報告される。

頭の固い顧問だと、少しの間練習に参加させてもらえないこともあるのだ。

平和な学校だな、と皮肉交じりにそう思った。
< 30 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop