夢みる蝶は遊飛する

新年を祝う言葉が、辺りから聞こえてくる。

数秒前とは、明らかに雰囲気が違う。


「あけましておめでとう!」


沙世の弾んだ笑顔に、同じ言葉を返す。


嬉しかった。

年が明けたことが、ではなく、この瞬間を誰かと共有できたことが。




たかが年が明けたくらいで、そんなに騒がなくても。

今までの私なら、そう思っていたはずだ。


季節も暦も関係ない。

私の生活にめりはりをつけるのはそんなものではなかったし、もっと別のもので区切られた“期間”の中で生きていたから。


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