夢みる蝶は遊飛する
次のページには、選手紹介が載っている。

私は写真付きで、しかも小さいけれどインタビュー記事まで書かれている。

ライターが書いた紹介文を要約すると、こうだった。


≪159cmと小柄ながらも、抜群のセンスと絶妙なパスワークで相手をを翻弄する。3Pシュートが最大の魅力であり武器である≫


当時まだ160cmに満たなかった私の身長は、全国レベルとしてはあまりに小さくて。

けれどそれを補えるだけの強みが、私にはあった。

たしかにあったのに。

それが諸刃の剣だなんて、誰がわかっていただろう。

自分でさえも、気づけなかったというのに。



涙をこらえてそれを閉じ、今まであった場所よりも、もっと奥にしまった。

それでも大切な思い出であることに変わりはないのだから、捨てることは出来なかった。

私は過去を忘れたいのか、それとも忘れたくないのか。

自分で自分がわからなかった。



< 60 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop