旦那様は社長 *②巻*

自分でも驚いてる。

あたしって、こんなキツイこと言える女なのかって。

でも、これくらい言っても、あたしはきっと許されるよ。

だって彼は、それだけのことをしたのだから。


あたしと敬吾は瞬き一つすることなく、ただジッとお互いを見据えた。


もしかすると、今のあたしはそうとうキツイ顔をしているのかもしれない。

……睨んでいるかもしれない。


だって敬吾は、さっきあたしの名前を呼んだ時と打って変わって、傷ついたような表情をしているから。


でも、あの時傷ついたのは、敬吾じゃない……あたしなんだ。


「……何とか言ったら?昔の恋人に、結婚おめでとうくらい言えないの?」


今のあたし、最低な女だと自分でも思う。


敬吾の話なんて聞かずに、一方的に気持ちをぶつけてる。


今のあたし……醜い……


気がついたら、自然とお腹に手をのせていた。


赤ちゃんに、こんな最低なあたしの言葉を聞かせたくなくて……。


そんなこと分かってるのに、遠い過去に忘れたはずの怒りが鎮まることはなく、あたしの興奮は収まらない。



< 161 / 409 >

この作品をシェア

pagetop