旦那様は社長 *②巻*

「はぁはぁ……ッ!!」


寝てない上にちょっと興奮しすぎて、頭がクラクラする。


「お前いい加減にしろよ?自分が何言ってるか分かってんのか?……爺さんも言ったはずだろ。早く曾孫見せろって」

「関係ない、そんなの。……命令されたからって作るものじゃないでしょ?それにあたしたちだって今すぐ親になれないでしょ?」


少なくともあたしはまだ、母親になる自信なんてない。

だって……有栖川を継ぐ子供だよ?


あたしの友達だって、もう何人かはママになっていて時々話を聞いたりする。


「旦那がまったく育児に協力してくれない」


……なんて言うグチから始まり

『幼稚園受験』なんて話を耳にした時は驚いた。


「附属幼稚園に入った方が将来有望だから」


……と、彼女たちはあちこちからパンフレットを取り寄せては学校選びに全エネルギーを注いでいた。

普通の子育てですらこんなに大変そうなのに……有栖川の子供だとどうなっちゃうの?

あたしが知らない“何か”があるんじゃないの?


そんな不安が生まれてしまった。

将来は有栖川を背負って立つあたしたちの子供。

きっと『付属幼稚園』とかってレベルじゃない気がする。

留学させてMBAの資格を早いうちから取得させるとか……。


想像もつかない、予想外なことも待っているかもしれない。


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