鬼の花嫁
食べ始めたら止まらないもので、昨日から食べ物を口にしていなかった美鈴は次々と果物を手にして食べる。
その様子を見ていた緋昏はいきなり笑い出した。
「ぶっ…わっはっはっはっは」
「!?」
「お前は、ほんと面白いやつだな。」
「????」
口いっぱいにあけびを入れている美鈴はしゃべることもできず目を白黒させる。
その様子にまた緋昏は笑いだす。
「女子がそう口いっぱいに頬張るもんじゃないぞ。
まるで栗鼠のようだな。」
「りっ、りす!?」
美鈴はすばやく咀嚼して驚いて問い返した。
「うむ。そっくりだったな。
栗鼠の好物はあけびだったか?
ほれ、もっと食べるか?」
にやにやと意地の悪い顔をしながら緋昏は問いかけた。
「わっ私と栗鼠を一緒にしないでください。」
「もういらないのか?」
ほれほれ、とあけびを美鈴の目の前にちらつかせた。
「…食べます。」
そうかそうかとやはりにたにたしながら緋昏はあけびを渡した。
なんとなく敗北感を感じながら、もらったあけびを食べる。
「・・・・・・・お前、やっぱり似てる。」
「…栗鼠に、ですか?」
若干むっとした様子で美鈴は聞いた。
「いや、俺の妹に、だ。」