俺様執事に全てを奪われて
見合いで着るのは和服か洋服か
『本日、見合いをします
有栖川の家に来なさい』

直前に言うなよ

今日、わたしに予定があったらどうするつもりだったんだよ

…って断る隙のない一方的な電話では…予定が入っていも

予定が入っているほうを断るしかなかったんだろうなあ

メイドが振袖を用意している

白い生地に、桃色の蝶が舞っている柄の振袖だ

ベッドで横になっていたわたしは起き上がると、眉をひそめた

「ちょっと待て
私はワンピースと言ったはずだ」

用意しているメイドに、わたしは声をかける

「はあ…でも、変更するようにと…」

メイドが困った顔をする

脱がされたら、わたしは着物を着ることができないぞ?

ワンピースなら、さっさと事が終えられるだろ?

…てか事を済ませるつもりはないが・・・

済んだように聖子に見せないといけないんだから

脱ぎ着が楽なのがいい

「なら、今すぐワンピースに…」

「変更する必要はない
俺が振袖にするように言ったのだ」

黒いスーツに白いワイシャツ

白手をつけた元が、わたしの部屋に入ってきた

びしっとスーツを着て、髪も整えられている元が冷たい視線でわたしを見る
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