俺様執事に全てを奪われて
「うーん、まあ、そうねえ」

母は口をとがらすと、渋々、言葉を止めた

「あ、乙葉…帰って来たのかぁ!
パパはさびしかったぞ
…変な男に騙されなかったか?」

父親もどこからか姿を現すと、わたしに抱きついた

…げ?

なんでいるんだよ

「須山がいたとはいえ…パパはさびしくて…」

「意味がわからん」

わたしは父から離れると、自分の部屋に戻ろうと歩き出した

「あ、明日はパパとプールに…」

「行かん!」

「どうしてぇ…」

父親の悲しげな声が背後からしてくる

「お嬢様は、女の子の日になりまして…」

元が小声で、父に説明をしている

「そうか…そういうことなら…」

父がぼそぼそと呟きながら、納得してくれたようだ

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