すべてのモノは夢を見ている
―エピローグ―
………………………………………
…私の一生は素晴らしい80年でした。

私が人生を終える時もハルは優しく看取ってくれました。

あの大きな事故からの人生も、より充実したものになり本当にいい生涯でした。

そして、あの時解らなかった事が肉体を無くした今、
全てが理解出来ました。


私は息を引き取った瞬間、
あの教室にいました。

私の姿もあの時のまま。

周りも何もかもあの時のままです。

一つだけ違っていました。

疑問に思っていた事が頭の中に流れ込んで来たんです。

それで全てを理解できました。


ここは、夢の中です。

私の夢ではありません。

地球が見ている夢の中です。


そこに私や、
沢山の人達が引き寄せられた世界だと知りました。

私には教室に見えるこの場所も、
隣にいるメグには、
そして周りの人たちにはどう見えているのか解らない世界。

それでも辻褄が合ってしまう。

それほど地球のスケールは大きいんだって事が解らされました。


ハルが言っていました。


「俺も香織と同じ教室にいたよ。あの事故で俺は心肺停止で運ばれたらしい。でも息を吹き返してその3日後に目を覚ました。その間教室にいたんだよ。」


ハルはあの時解っていたんです。

この教室は、私達が地球の夢の中で感じていた世界だって事を。

そして、その先にあるのが本当の死の世界なのだと。


一度死んだハルはその先の世界も見ていたんです。

解っていたから私を助けてくれたんです。
< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop