恋するキモチ
「あった、あった」
俺って意外と記憶力いいんじゃん。

今でも思い出すと顔が赤くなりそうな腹痛を起こした時に、一度行っただけだったけど、七瀬先生の下宿覚えてた。

こんなに記憶力いいなら、テストでも発揮してくれればいいのに。
そんなことを思いながら、自転車を停める。


「あれ?エルグランド」
松先が乗ってるエルグランドと同じ車種が脇の道に停まっているのが見えた。


「あっつー。汗かいてる。溶けてないよな?」
Tシャツの脇や胸にほのかに汗がにじんでいる。
俺はチョコレートの箱を上から少し押さえてみた。

グニャ

うわっ。
溶けかかってる。


チョコレートに夢中だった俺は、七瀬先生の部屋に行くことだけを考えていた。
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