Ｇｏ ａｇａｉｎｓｔ ｓｔｏｒｙ

鉄馬

カーン、カーン

ノゥンは最初大聖堂の鐘の音だと思った。

しかし、いつもとは違うリズムに違和感を感じて目が覚めた。

すると頭がグワンとなり、痛かった。

「はよー、昨日は飲み過ぎたなぁ！」

タカがあくびしながら言った。

「おはようタカ。シンは？」

ノゥンはシンが辺りにいないのでタカに尋ねる。

「あぁ、あいつは鍛冶屋バカやかんなぁ。鉄馬のメンテしてるねん！それより、ほらっ！これは酔い覚しにもえぇねん。」

と言ってタカが差し出したのはノゥンの意識を取り戻さしてくれた白い葉だった。

「ありがとう。」

ノゥンはその葉を受け取った。

「んじゃ、ちょっと待っててな。今メシ作ったるわ！」

タカはそう言うと、目の前のキッチンで手際よく料理を作り始めた。すると入口の方から

「ノゥン、ちょっとえーかぁ？」

と、シンが少し困ったようにノゥンを呼んだ。

ノゥンがシンのところへ行くと、シンは鉄馬についていた球状の物体を見せた。

「鉄馬が飛ぶ原動力がこいつやねん。これは魔力を発する石で、これがないと鉄馬は飛ばんねんけど…。」

シンは肩を落としながら

「昨日ちょっと無茶したらしい。１つの石にヒビが入ってもてんねん。このままやと鉄馬は飛べん。」

そう言って石をノゥンに手渡した。

「これは…すごいですね！ヒビがあってもまだ魔力が残ってる。」

ノゥンは不思議そうに石を見つめる。

「シン！ノゥン！メシ出来たでぇー」

奥の部屋からタカの声がする。

「とりあえず、続きはメシ食いながらゆうわ。」

と先に奥に入って行くシン続けてノゥンも後を追う。

「ほらっ、冷めてまうで！はよ食べや！」

目の前に並んでいるのはご飯と肉、野菜をまぜたチャーハンみたいな物だった。

「いただきます。」

ノゥンはまた胸の前で十字を描き、一口食べる。

「美味しいです！」

ノゥンがそう言うとタカは

「やろぅ？オレが作ったら何でも上手いねんって。」

と、ニヤニヤ笑った。

「タカ、ノゥン。さっきの話しなんやけど…。」

シンが深刻な顔で口を開く。

「多分、見たところあの石はもう無理や。魔力が不安定なだけにケガしてまうかもしれん。」