Go against story

海賊

一人の男が甲板で寝そべっていた。

茶色い髪、日に焼けた屈強な肉体。

雲一つない空に向かってタバコをふかしながら、首にかかっている石を見つめていた。

「船長、出航準備整いました!いつでもOKです。」

船室らしきところからキャップをかぶった男が出てきた。

「そうか、ありがとう。んー…、でもなぁ出発はちょい延ばそか~。一波来るらしいわ。」

困惑する部下を横目に、船長と呼ばれた男は石を太陽にかざしていた。





その頃ノゥン達は鉄馬に乗り、入り江へと向かっていた。

「お前の魔力ってほんますごいなぁ~…それはやっぱ厳しい修行とかで?」

石をつけていないのに、いつも通り動く鉄馬に感動しながらタカは言った。

「いや、僕は生まれつきらしい。」

ノゥンは少し顔を曇らせた。

「生まれついての天才ってか!まっ、オレもその内の一人やけど。」

そう言って得意気にするタカに、ノゥンは少し驚いた。

今までノゥンの周りの人は皆、ノゥンの生まれついての才能を神童として崇めていたからである。

「ノゥン、お前旅に出たかったとかゆーてたな!でも特に行く宛はないんやろ?」

突然の質問に曖昧な返事しかできないノゥン。

「どや?オレと一緒に賞金稼ぎにならんか?賞金稼ぎやったらどこへでも好きなだけ行ける!何より、オレの料理が毎日たべられる!」

真剣な顔のタカに、ノゥンは思わず笑ってしまった。

「タカのご飯は魅力的だね。でも…僕は自分が知りたいんだ。何故あの修道院にいたのか。何故こんな姿なのか…。」

うつむくノゥンにタカは相変わらず二カッと笑って、

「そんなん賞金稼ぎやりながら探したらえぇやん!オレらの情報ルートは半端ないで!」

そして一息つくと、胸を叩きながら

「ノゥン、男はなぁ見た目じゃない。男はハートや!」

そんな言葉にノゥンは目頭が熱くなるのを覚えた。

自分を対等として扱ってくれる存在。

(これが友情と言うものなのだろうか…)

ノゥンはまた胸の奥が熱くなるのを感じた。

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