Ｇｏ ａｇａｉｎｓｔ ｓｔｏｒｙ

滝の裏の家

（滝の裏に洞窟！？）

ノゥンはその狭くて薄暗い洞窟の中をのぞいて見たが、真っ暗で何も見えない。

ゲイルは徐々にスピードを落としながら洞窟の奥へと進んでいく。

すると微かに光が見え始めたと思った次の瞬間、
「あっ！？」

ノゥンはその光景に目を疑った。

目の前に広がったのは大きな行き止まりだった。

しかしそこはまるで昼間のように明るく、キレイに生えそろった芝生の中にポツンと家が立っている。

煙突からは湯気が出ており、美味しそうな匂いがした。

ゲイルがゆっくりと地面に降りると、ジャックを残して盗賊達はゲイルの背中から飛び降りた。

「ジャック！マーケットの方は任せたぞ！」

ボスが叫ぶようにジャックに言う。

「任せてください！昼までには戻ってきやす。」

そう言うと、ドンッと胸叩きニヤリと笑った。

そしてゲイルが再び飛び立つと、ジャックは真剣な表情で来た道を戻って行った。





ジャックの姿が見えなくなると、ノゥンは足の縄をほどかされ、バックスの後を歩いている。

歩きながら辺りを見渡すと、芝生のように見えていたのはコケであることがわかった。

段々と家に近付くにつれ、美味しそうな匂いはノゥン達を包み込む。

「グ～グギュグルルル。」

バックスの腹がすごい音で鳴った。

「おぉっと！いけねぇ！！…あぁ～早くメシ食いてぇなぁ…。」

そう言ったバックスの顔は間の抜けたようにゆるんでいた。


「今帰った。」

ボスがそう言うと家の扉が開き、中から出て来たのは大きなウサギのような耳を生やした女の子だった。

年はノゥンより少し下に見える。

「おっかぇりィ～！」

女の子はボスに飛び付くように出て来た後、後にいるノゥンに気が付いた。

「あれっ？子供？仲間にでもするの？」

きょとんとした大きな瞳は赤く、本当にウサギのようだとノゥンは思った。

「コイツぁ～今日のマーケットの目玉よぉ！なんせ神官様だかんなっ！」
バックスが笑いながら中へ入って行った。