sakura-君と出逢えて-
てか、今はそんなこと、どうでもいい。
そんな暢気に話してる場合じゃないでしょ!
この際、ゆずでもゆずくんでもどっちでもいいの。
だから……。
「ゆず、手を離して! 遅刻する!」
そう思いっきり手を振りほどくと、意外にもあっさり離れた。
「てか、ゆずも行かなきゃ……」
「よくできました。春ちゃん、急いで! もうすぐ本鈴だよ」
ゆずがわたしの頭をポンポンと叩いた。
柔らかい感触が再びドキンと心臓を飛び跳ねさせる。