sakura-君と出逢えて-

キミとのキョリ




*   *   *



二人で乗り込んだいつもと違う時間の電車。


もちろん、わたしと同じ制服の学生はいない。


咲来と同じ制服の学生はちらほら見かけた。


でも、ほとんどが教科書やプリントを見ていたり、音楽を聴いていたり……。


当たり前のことだけど、わたしと咲来には関心がなさそう。



椅子に座ると自然に離れた咲来の手。


それは、彼の携帯が鳴ったから……。



もし、携帯が鳴らなかったら?


椅子に座ってなかったら?


咲来はわたしの手を離さなかったんだろうか?


倒れたら困るなんて本当は口実だったんじゃないの?




本当は手を繋ぎたかっただけじゃ……。










< 106 / 202 >

この作品をシェア

pagetop