硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
龍星は、
黙っていた。

黙って
日和の言葉を聞き、

ほんの少しの間の後で、

「なぜ、謝る」


と、ぽつり。



「………」


「自分が言った言葉に
責任が持てなくなったのか?」


「え…
それも、ある」


「それも?」


「七海さんを怒らせてしまったのなら、
謝ろうと…思ったから」


「俺が、怒ってる様に見えた?」


「…はい」


「そっか。


日和」


「はぃっ…」


「二度と
あんな言葉は言うな」


「あ、……はい」


「俺は、
女の子があんな言葉を言うのは、
好きじゃない。

自分の好きな女なら
なおさら」


「はい………えっ」


「あんな言葉は言うな。
二度とだ」


「はぃ」



< 109 / 156 >

この作品をシェア

pagetop