硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
「なんだか、今日は、いつもと違いますね。喋り方」

「あぁ、そうかな」

「えぇ」

「学校じゃない所で、ばったり会ったからかな」

「あぁ」

「あと、もしかしたら、日和さんの雰囲気が、変わったからかな」

「私の雰囲気が?」

「うん」

「え…、どんなふうに?」

「眼鏡をしなくなったとか、服装が違うとか…。ほら、今まで、ジーンズにTシャツだったでしょ?」

「あぁ。そういうのね」

「でも、それだけじゃない」

「え?」

「日和さん、雰囲気が変わった」

「…見た目だけじゃなくて?」

「うん」

「そう…」

私は、思いあたるふしがあって、目を落とし、一人思う。

「何か、あった?」

「え?」

「いや…。中学になって、何か、今までと違うことでもあったのかなと思って」

「いいえ」

私は、別に、彼に話したくはなかった。
そこまで話す必要はない。
彼は私にとって、特別な人間ではない。

「そっか」

頷いている彼を、私は見ていた。

彼は、私が言葉を待っているとでも思ったのか、また喋り出した。

「僕たち、将来、結婚するんだから、何でも話せる仲が、いいなと思って」

その言葉を聞いて、私は、黙っていられなくなった。

「桐生君」

「何?今、びっくりした。初めてだね、名前を呼んでくれたの」

彼は、びっくりしたと言いながら、笑顔になった。

私は、真面目に話し出す。

「貴方は、好きな人と結婚したいと思わないの?」

「え?」

「聞いてるの」

「…思う、よ」

「なら、今の言葉はおかしいじゃない?」

「おかしい?」

「好き人と結婚したいと思ってるのに、親が決めた許嫁と結婚の話なんて、おかしいでしょ?」

「え、…」

彼は、口ごもる。

しかし、すぐに口を開いた。

「僕は、君と結婚することに、異議はない」

その言葉を聞いて、私は、腹ただしくなった。

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