正反対恋愛【完結】
電話帳から銀の名前を探し出し、ディスプレイを食い入るように見つめる。


携帯に男の子の名前を登録したのは、これが初めてだった。


銀は、あたしに色々な初めてを教えてくれる。


手を握られたのも、頭を撫でられたのも、抱きしめられたのも。


銀が初めてだ。


「……銀に会いたいなぁ……」


少しでもお洒落になって銀に近付きたい。


一緒に歩いていて、お似合いだと思われなくてもいい。


不釣り合いだとさえ、思われなければ。


あたしはその後も懸命に化粧の練習を繰り返した。



銀に可愛いって言ってほしい。


可愛いと思われたい。


その為に。

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