続きは、社長室で。2
まるで此処から先の守護義務を、私にバトンタッチするかのように・・・
ランボルギーニの特徴である、上へと跳ね上がるように開くドア。
まだ2回目というコトもあって、不慣れながらに車外へ出た私。
「蘭・・・?」
「あ、はい・・・」
社長の声で一息つく暇もなく、歩を進める事になったのだけれど。
当の彼は立ち止まったまま、何故だか私をジッと待ち構えているのだ。
離れていたキョリが短すぎたせいで、すぐに彼の許へと到着してしまう。
「あの…、社長・・・」
それでも私は彼の位置から一歩引いて、歩きを止めたというのに。
グイッ――
空いている左手を掴まれて、その均衡さえすぐに崩されてしまった。
キュッと握られたまま離されない手が、私を彼の隣へと引き寄せる。
「ほら、行くぞ――」
「っ・・・」
仕事モードの社長だけれど、優しく感じたのは気のせいではナイ。
ドキドキと高鳴る鼓動が煩くもあり、胸騒ぎにも聞こえたけれど…。