続きは、社長室で。2


東条に生きる貴方がたのように、私はまだ“たおやか”に生きられナイから…。



自分ひとりでも立てる力を、持てるヒトになりたいの・・・




「でも…、そちらを予約しても良いですか…?

すべてゼロから愛して貰えるように…、秘書として頑張りますから」


だけれどその為には、“頑張れる源”へと縋りたいという本音を覘かせつつ。



「えぇ、当たり前でしょう!

私の娘は、蘭ちゃん以外にいないもの」


「…っ、ありがとう、ございます…」


おずおずと図々しいお願いをした私に、満面の笑みで返してくれた。




「ねぇ蘭ちゃん…、運命って絶対にあると思わない?

だって私たちは、貴方たちより先に自ら証明しているもの!

決して見えないけれど、確かな絆が繋いでくれているわよ…」


「私も…そう信じています…」


そんな彼女の慈悲深い笑顔と、自信に溢れた凛とした佇まいが神々しくて。



たとえ指輪というモノがなくても、頑張り抜ける気がしたの・・・





カチャッ――

談笑していたリビングのドアが開かれると、愛おしいヒトが病院から帰宅した。



「あれ佐々木さん、待っててくれたのか?」


「はい…、お帰りなさいませ」


「ありがとう」



二者択一から“泣いて待つ日々”ではなく、“笑って動く日々”を選び出した私。



愛おしい貴方の傍で、再び愛して貰えるように・・・




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