続きは、社長室で。2
母のようにたおやかに、そして理紗子さんのように凛として生きたい。
目標なんておこがましいけれど、私なりに頑張りたいと思えたの。
もちろん拓海の傍で生きていくコトが、前提だけどね…?
一礼を終えて顔を上げると、憧れてきた表情の彼女と視線が交わった。
「そう言ってくれて、本当に嬉しいわ…。
でもね…、今日は蘭ちゃんと買い物に行きたかっただけなのよ。
アノ通りに拓海は、冷たくてツマンナイから!」
「・・・え?」
拓海をツマンナイと言い放った理紗子さんに、思わず目を見開いた。
というより、初めて見た砕けた表情に驚いてしまったのだ。
「フフッ、これから宜しくね?」
「え、は、はい!」
だけれど強い日差しにも負けない、キラキラの笑顔を見せられた為に。
コクコクと頷くだけで、何とも不思議な感覚は消え失せてしまった。
理沙子さんを知るコトが、東条を知る一歩なのかもしれない・・・
東条家を出た私は、すぐ隣に建つ実家へと徒歩で帰宅した。
バタンッ――
両親ともにまだ仕事中の為に、そのまま階段を昇って自室へと入る。