夏空










「咲乃…」


ずっと聞きたかった、


大好きだった声が、
また、あたしを呼んでる



脩はやっぱり、
死んでなんか―――



「お前が、あまりにも
俺を呼ぶから来ちまったよ」



「……」




死んじゃったんだ…

じゃぁ、なんでここにいるの??



あたしが脩を呼ぶから??



脩はあたしが呼ばなかったら
来てくれなかったってこと??







会いたかったって言ったけど
本当に会いたいって
思ってたのはあたしだけ…





「咲乃??」


「あたしだけだったんだね」


「え??」



「会いたいって、
思ってたの…」


「俺だって咲乃に会い―――」


「あたしが呼ばなかったら…
こうやって…
来てくれなかったんでしょ??」




こんなこと言いたくないのに…


“大好き”と
“ありがとう”って
伝えたかっただけなのに―――











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