全部、君だった。
先輩はしばらく黙っていた。
私は緊張しすぎで(あ、さっきも言った…)顔をあげることができなかった。
「今ケータイ持ってないんだ」
……
………
で…すよねー
練習中ですしねー…
あえなく撃沈。
「そ、そうですよね。練習中だし…すみません…」
私は諦めて帰ろうとした。
「んー…
あ、それ貸して」
そう言って先輩は私の制服の胸ポケットのボールペンを指差した。
「手、出して」
ボールペンを渡すと、先輩は私の手をとりペンをはしらせた。
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