【短編】『愛してる』なんて言わないで
2番目の女



好きと言って彼はこう言った。

「2番目でいいなら」


あたしはそう言われて迷わず「いいよ」と答えた。


そんなあたし、
神崎千緩(かんざき ちひろ)
大学3年生。21才。



彼、谷田康太(たにだ こうた)
大学4年生。22才。




あたしが望んでなった関係。




でも体を重ねる度に彼からの『愛してる』の言葉が苦しい。


こんなこと分かってた。


苦しいんだって。

2番目なんだって。


クリスマスも、何かイベントがあると本命の彼女と過ごす。




そんなこと分かり切ってるのに、いざ彼があたしの元から本命の彼女の所に帰るときが1番辛い。




分かり切ってるのにね。


最初から辛いって。



友達にも、止めときなと何度も言われた。


加藤優菜(かとう ゆうな)
あたしと同い年。
高校からの付き合い。



優菜の言いたいことも分かるけど、やっぱり好きなの。


2番目でも良いって思えるぐらい好きなの。



たぶん彼はあたしがここまで好きだと言うのは知らないと思う。




『愛してる』。

いつも貰う彼からの言葉はきっと偽り。


心の底からは思ってないと思う。




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