Sin
シンは紙に視線を落とした。長々しい数字の羅列に力強く引かれた赤い線。

3.14。思わず指でなぞった。

生きて行くために切り捨てる、延々と続く疑問の螺旋を。仕方ないと線を引く、自分の力では変える事の出来ない現実に。

そう、生きて行く、ために。

「誤解しないで欲しいんだが、“仕方ない”と現実を認めるからといってシンを差別する人達が正しい訳じゃ無い」

ジャックの口調は幾分厳しかった。

「シンを虐待した人間達や棄てた親……彼らのした事が許される訳ではないんだ」

そして、と続け、ジャックは当惑しているシンを見つめる。

「そして誰が何と言おうと何をしようと、シンが一人の人間として大切にされるべき存在である事に変わりはないんだよ」


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