Sin
「怖い、よな」

小さく頷くシンの両肩をぽんと叩き、ジャックは尋ねる。

「今日は止めておくか?」

思わず頷きそうになった。逃げたい。怖い。

その瞬間、思い出したあの数字。

“3.14”

そうだ。いつかは線を引かないといけないのだ。仕方ない事なのだと。

今そうしなければ、二度と踏み出せないかも知れない。延々と続く数字の螺旋に似た現実に縛られたまま。

シンは一度瞬きし、ジャックを見つめたまま言った。

「なぁ、ジャック。俺……必ずここに帰って来れるんだよな」

ジャックは大きく頷く。

「もちろんだ。嫌だと言っても連れて帰る」

必ず、と繰り返すジャックの真剣な瞳。シンはゆっくり深呼吸した。

「俺、行く」

外でどんなに嫌な目にあっても、必ずここに帰って来れる。

だから、大丈夫だ。


< 147 / 331 >

この作品をシェア

pagetop