Sin
シンは当時の事を思い出す。

唾を吐いても噛み付いても、フォークで突き刺してもグラスを投げ付けても逆上しなかったジャック。

『おいで』

手を伸ばしてくれた彼の、深い緑の瞳。優しい色。

「……俺も、一緒」

「え?」

「あの時のジャックの瞳。似てたんだ」

シンはジャックの肩に寄り掛かった。

「俺の事好きだって言ってくれた、母さんの瞳に似てた」

ミルクをぐいと飲み干す。

「母さん、最初から俺の事嫌いだった訳じゃなくて。ガキの頃はよく抱きしめてくれた。大好きだって言って、キスしてくれた」

ジャックみたいに。

そう言ってシンは空になったコップを置き、目を擦った。


< 171 / 331 >

この作品をシェア

pagetop