Sin
「なんで……」

シンは泣きじゃくりながら、胸に居座り続けている疑問を口にした。

「なんで俺……母さんに嫌われちゃったんだろう」

ごめん、ジャック。こんな事言ったらまたジャックが困るよな、と心の中で謝りながらも止められなかった。

「もし……俺が黒くなければ、母さん今でも愛してくれてたかな」

一度は愛してくれてたんだ。皿に残っているすりおろし林檎に涙が落ちる。

「もし俺がセイジみたいに白くて、ジャックみたいに茶色の髪だったら……今でも抱きしめてくれてたかなぁ……」

自分ではどうにも出来ない“円周率”。分かってはいるけれど。

『大嫌いな父親にそっくり』

「俺が父さんに似てなければ……今でも愛してくれてたのかなぁ」

「シン」

シンの疑問に、ジャックは『そうだな』とも『違う』とも答えなかった。

ただ、そばに来てくれた。隣に座って言ってくれた。

「どんな姿でも、シンはシンだよ」

力強い声。肩に置かれた温かい手。

それはシンの胸を苦しめる哀しい疑問に対する、ジャックなりの精一杯の答えだった。


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