Sin
きっとそうなんだ。シンは一人で頷く。

あの時、盗んだ食べ物の金を払ったのもそれ以上の見返りを手に出来るからで。

優しくして、油断させて。いつか売り飛ばす気なんだ。

道具みたいに働かされる奴隷としてか、あの屋敷みたいに“おもちゃ”を欲しがる奴らにか。

「そっちがその気なら、」

こっちもこの状況を最大限利用させてもらおう。そう簡単に騙されてたまるか。

もう二度と、同じ手にはかからない。

シンはスポンジを使って石鹸の泡を大量に作った。単に加減が分からなかっただけなのだが、真っ白な泡がどんどん出来上がるのを見ていると少し楽しい気分になった。

火傷の痕が残る体をふわふわの泡が包む。泡だらけになったシンは歌うように呟いた。

「優しい奴ほど、信じちゃいけない」


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