Sin
すんでの所でかわし、コップは壁に当たって砕ける。弧を描くように降ってきた水からは逃げられなかったが。

ジャックは少年を見つめた。なぜ、彼は差し出された手を攻撃するのだろう。

唸り声が聞こえそうな鋭い眼差しに、ジャックは微笑みかける。フォークで刺された傷がかなり痛いのだけれど。

何をしても怒らず、叩きもしないジャックを不思議に思ったのだろうか。少年は小さく呟く。

「変人」

ジャックは笑った。少年が反応してくれたことが、何故だか嬉しくて。

「褒め言葉と受け取っておくよ」

もう一度少年にコップを手渡すと、今度は素直に受け取り水を飲み干した。


< 8 / 331 >

この作品をシェア

pagetop