chance
母さんは豪快にタクシーを止めると、あっと言う間に居なくなってしまった…


せっかくセバが迎えに来てくれたのに……

乗って行ってやればいいのに……

チョビッとセバに同情しちまうよ…

私『セバ!さっ行こうか!』


なるべく暗くならねぇように、明るく言うと


セバ『奥様は……セバスチャンの事が嫌いなんでしょうか?』


セバスチャン……

そんなに寂しそうな顔するなよ……

何だかかわいそうになってきたじゃねぇか……


私『みんな……セバスチャンの事…大好きだよ』

セバスチャン!!

元気だしてくれよぉ〜

お前チョット変わった爺さんだけどよぉ〜!

アタイは…セバスチャンの事大好きだゼッ!


その時、電話が鳴った。
私『もしもし?』

母『あんた気をつけなさいよ!じゃあね〜』


それだけ言うと、切っちまった……


母さん……あんたも酷い奴ですゼッ…

セバスチャンがかわいそうじゃねぇのかよ!

そりゃあ〜セバスチャンは方向音痴だゼッ…

だけど、わざわざ迎えに来てくれたんですゼッ?

ここまで一人で来れたんですゼッ?

すげぇーじゃねぇか!

褒めてやろぉじゃねぇか!!


車でお迎えだゼッ?


アタイは御嬢様そのものじゃねぇか!!

セバスチャン!

ありがとうな………




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