人気No.1のおブスなキャバ嬢の話し

小岩に決めた理由は駅前で、黒服らしき男が尚子よりもブスな女を懸命にスカウトしているところを目撃したからだ。


尚子はできるだけ目立つ格好をして、その男の前を毎日うろついた。

三度目の正直、店の女が足りなかったのか、男は尚子に声をかけた。

老舗のキャバクラで、尚子のデビューが決まった。


スカウトされることにしたのも、こちらから雇ってください!と行くよりも、

『そこまで言うのなら働いてあげてもいいわよ』

というスタンスをとったほうが、何かと都合がよいと判断したからだ。

もうアイプチを使わなくても二重瞼は定着していた。

その自信が尚子を少しだけ、高飛車にしていた。


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