短編オムニバス「平和への言葉」
「おはようございます。お着替えをお持ちしました」

いつもの使用人がやってくる。

手には、あたしの着替えを持ってる。

あたしは、黙って彼女のところに近寄ると、手に持った着替えを受け取った。

彼女が一礼すると、

『アリガトウ』

とインコが言った。

そう、インコが話す唯一の言葉が、この『ありがとう』。

この言葉を聞くと、彼女は笑みを浮かべて、部屋から出ていった。

あたしは、何も言わない。

だって、使用人が服を持ってきてくれるのは、仕事だから、当然でしょ?

何でお礼を言わなきゃいけないの?

ばかばかしい、と想いながら、あたしは着替えを始めた。



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