愛してよダーリン
03〜Love and trust

怒り〜紫音side〜





―紫音目線―




あんなに目を腫らした奈緒を見たのは初めてで、最初はびっくりした。




だいたいは予想がついてたけど、奈緒の話を聞いてる間、無神経な樹に腹が立った。




沙絢も沙絢で、奈緒を泣かしといて樹と仲良くしてるのかと思うと、腹が立った。




沙絢はあたしと知り合ったときから今の性格で、誰にでも気さくに話して明るく良い子を“演じてた”。




あたしも実際、良いとは言えない性格だから、沙絢も自分に近い性格のあたしに本音を出したんだと思う。





何回か撮影が一緒になるようになって仲良くなったあたしと紫音は、


よくメイク室で話をしてた。




メイクはその時はまだ基本自分でやってたから、メイクさんはついてなくて、メイク室は2人きりだった。



そんなある日、沙絢が口を開いた。




『あたしね、本当はこんな良い子じゃないんだよねぇ』


『ふーん』




いきなり何言ってんの?とか思ったけど、特に興味なかったあたしは普通に流した。




『友達はいるっちゃいるけど別にいらないし、ただ遊び仲間が欲しいだけっていうか』


『へぇ』


『どうせあたしが金持ってるから、その金で遊びたくて友達やってるだけみたいだし』


『へぇ』




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