無糖

君に殺されるなら いい と思っていた
呪縛ではなく 君に殺されるのなら 
受け入れようと 誓っていた

君は いつも わたしを殺さない


人生の半分を この呪縛と 共に生きて
今 9つの心と 1つの体で生きようとする

夢から覚めて
わたしは最初に 水を一杯 一気飲みをする

水で濡れた唇を 服の袖で拭って
煙草に火を付ける

煙を吸い込み 肺の全体にまで届くよう に
深く 深く 吸い込んでは 吐く

それだけでは 寂しいから
携帯を手にして 音楽を 流す

音楽が終わると ほぼ同時に 
煙草を 消す

灰皿に押し付けて 人生の友に 語りかける
 まだ わたしは生きている と
人生の友は そうか と安心したよう返事をする

次に 呪縛が わたしを殺そうとする時
わたしは 呪縛から

逃げ切れない と思った

10代の体ではない この体と
追い詰められてゆくだけの この場所では
逃げる術は ない と

その時は 殺されよう

この体は 呪縛に飲み込まれよう

でも もしも 
逃げる術が あるならば

わたしは 
 生きなければならない
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