【完】宛先不明のラブレター
茉莉は、俺を“優しい人”だとよく言っていた。
その度に、本当に自分が優しい人のように思えた。
他の誰もが俺を優しくないと言っても、茉莉が俺をそういう風に見てくれれば良かった。
…今更だけど、茉莉と出会ってからずっと、茉莉は俺の全てで、“帰る場所”だったんだなと思う。
茉莉の言葉のひとつひとつが、今もこうして胸に響く。
「…でも、優しいよ。」
そう言うと、茉莉はにっこりと笑った。
まつげは涙に濡れ、頬には涙の跡があった。