【完】宛先不明のラブレター
そう言いながら、いつものようにあたしの横に座る。
そしていつものように、ココアを差し出された。
「…夜は冷えるなー…」
白い息を吐き出しながら、聡は呟いた。
…いつも通り。
いつものままの、聡。
「…そうだね。」
それにいつも通り答えるあたし。
…聡と出会ってから今日まで、まだ1ヶ月も経っていない。
けれどその短い間に、何度も彼は昼間のようなことを言われ、昼間のように苦しげな、悲しげな顔をしていたのだろうか。
あたしと、奥さんにはさまれて。
…そしてそれを、あたしには一切見せずに。
あたしの、せいで。