大人になれないファーストラバー


ふと昨日のことを思い出した。




日直の先生がたまたまタケちゃんで。映画を撮っていたあの教室に見回りに来た時に「8時までには帰れよ」と言われたのだ。



それに対して、監督兼台本担当の深川が「分かりましたあっ」と良い返事をしていた。




けれど結局タケちゃんの言いつけは守らず、映画撮影は深夜までにも及んだと言う…





つまり、ここで見つかったのは相当ヤバい展開なわけで…。






「で? 名取はなんでここにおる?」





「文化祭の準備で」なんて答えられるわけがなかった。




あたしはあからさまに動揺していた。
目が泳ぎまくりで、それより何よりすぐに答えられない時点で既に怪しい。





「なーとーりー」




実際にタケちゃんが歩み寄って来てるわけではないのに、目の前に立ちはだかられてるような圧迫感がある。




ここで逃げたらきっと映画のことがバレてクラス単位で怒られることになるだろう。



けど、取りあえず今はここから逃げたくて、また数歩後ずさる。



そうやってタケちゃんから逃げ切れるくらいの距離をさりげなく取って、後は駆け出すタイミングを図った。


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