砂漠の月歌 〜dream story〜




改めて思えば、国王が亡き今、この国の今後は絶望的なものになっている。



「……っつっても…どうしろってんだよ…」


既に諦めかけている執事に、姐御は口を開く。



「……まだ王子がいるだろ」


その言葉に執事ははっ…とする。



「ちょっと待てよ、それって…」



「国王が暗殺されたとなれば、
次に狙われるのは…恐らく王子だ」


現在の状況から考えても、姐御の考えにまず間違いはないだろう。



「これから
この宮殿全体に、兵士で守りを固める」



「そんな事しても、
暗殺した奴等の顔も知らねーのに…」


反論する執事の言葉を途中で遮る。



「それだけじゃない、街の方にも
何人かの使用人を潜り込ませるんだよ。

そうやって少しずつ、情報を集めるんだ…
国王ならきっとこうした筈だよ」


今だ書簡を見つめて姐御は言う。



「国王の後継者である王子も、今は未熟だ…
今となっては、街も危険だ。
絶対王子を宮殿から出すんじゃないよ」



「ちょっ…ちょっと待てよっ
王子に関しては、まだ国王が死んだ事すら
伝えてねーんだぜ…!?」
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