未完成人一家

(真奈美が?! 嘘でしょう・・・ )


万里子は動揺した。 香代子がと言うならまだしも・・・

あの真奈美が・・・

真奈美は物を欲しがらない娘だった。
しつこくねだるのはいつも香代子だ。

本当は我慢していたのだろうか・・・。

迎えに行くと、真奈美は色のない顔をして椅子にポツンと座っていた。

目の前には手提げ袋と大量のお菓子、ケーキ・・・


店の人間に話しを聞くと、これが初めてではないという。

常習犯だと。


土下座をして金額を払い、真奈美を連れて家に帰る。


真奈美は何も喋らない。


透き通ったような、何処か清々しい顔をしているように見えた。



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