†Devil Kiss†
雨の中、急いで帰った。



「ただいまぁ」


「あ、おかえりお姉ちゃん!」



ユハとソファーで絵本を読んでいたらしい。



「すいません、ユハさん。朝食も用意できない上に弟の面倒まで・・・」


「いや、無事に帰ってきて安心した」



そう言って、本当にホッとしたような顔をした。




「てか、また敬語使ったな」


「あ・・・・・・」



そんなにいきなり、敬語って抜けるもんじゃないでしょ!



と、心の中で叫んだ。



「お姉ちゃん、誰がいなくなったの?」



突然エリックが割り込んできた。



ローズはため息を一つ溢した。



「フィデール・ベルモンドさんよ。村中で探してるけど、まだ見つからないわ」


「そう。こんな雨の中、どこに行ったんだろうね?」


「うん」




ローズは心配そうな顔をして窓の外を見た。



ユハはそんなローズを見て、少々驚いた。



昨日、あんなことを言っていたから、てっきり喜んでいると思っていたのだ。



「嬉しくないのか?」


「え?」


「だって彼を嫌っているんだろ?」


「でも、人がいなくなったのよ。いくら嫌ってる人でも、心配はするでしょう?」



そういうものか・・・・



あまり納得のいかない顔をしたユハを見て、ローズはさっき浮かんだ疑問がよみがえってきた。



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