†Devil Kiss†

母の過去

今の会話に少し引っ掛かったような気がしたユハだったが、それが何なのかわからなかった。



「マリー、すまなかったね。妻にも悪気はないんだ。ただ帰ってきたら突然フィデールが行方不明だと気かされて、ショックを受けているだけなんだ。許してくれ」



ゆっくりと落ち着いた喋り方をするフィデールの父。



きっと、母親似なのだろうと思った。



「ローズ・・・突然おしかけて申し訳なかった。君は愛する人が既にいるようだね。どうか、その人との愛を大切に育てていきなさい。」



その言葉を聞くと、夫人は泣きだしてしまった。



そんな夫人の肩を抱き寄せながら、ベルモンド夫婦は帰っていった。



そんな二人の後ろ姿を複雑な眼差しで見ている母にローズは疑問を持たずにはいられなかった。




「お母さん・・・・・・?」



そんな気持ちが通じたのかマリーはため息を吐くとローズに言った。



「お母さんとお父さんの昔話でも、しようか?」




努めて明るく振る舞うマリー。



ローズはユハに目を向けると



〔聞いてきな〕



まるでそう言われているかのように優しいほほ笑みが返された。



ローズは頷くと家に入った。




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