ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜
―――――――…
「うらら…! 良かった、戻ってこれたんだ」
皆がいる広間へと再び現れたうららの姿をソラが一番に見つけ、笑顔で駆け寄りうららの手を握った。
だけどうららの気持ちが晴れないのは。
「どうしたの? オズに、会えなかったの…?」
「ううん…会った…なんか大きかった…」
「大きいんだ…じゃあ、願いを叶えてもらえなかったの?」
「願い……」
――…願いごと。オズなら…偉大な魔法使い・オズなら、きっと叶えてくれるんだと思ってた。ここまで来れば、叶うのだと。そう信じてここまで来たのに…
「うらら…?」
黙りこくったうららの反応に先輩たちも顔を覗きこんでくるけれど、あまりにも落胆してしまって、期待が外れてしまって、顔を上げられなかった。
見かねたようにソラがうららの手を引いて部屋の中央にあるソファーへと促す。
うららも促されるままにソファーに腰を下ろした。
アオが紅茶を淹れてくれて、その温かさと香りに漸く気持ちが落ち着いてくる。
それからようやく、どこか途方に暮れた気持ちのままうららは、事の成り行きを話し出した。