きっと ずっと もっと。
俯き、黙り込んだあたしを、フォローしようと必死な父と兄。

その様子をもにこやかに見守る母。


バツが悪いと言うよりも、居心地の悪さが勝ったあたしは、

「明日、早いから」

後片付けもそこそこに、ダイニングを後にした。


――きっと明日、学校に行っても教師達は同じ様な反応なのだろう。

卒業まで一ヶ月を切っているのに、未だ就職の決まらないあたしに憐れみの眼差しを向けて。

なんの慰めにもならない励ましの言葉を掛けるのだ。


自分の部屋に戻って向かい合わせになった隣家の窓――コーちゃんの部屋の窓を見ると、カーテンがきっちりと閉じられていて。

一筋の光さえ電気の漏れないその部屋は、主(あるじ)の不在を物語っていた。




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