きみとベッドで【完結】
幹生に肩を抱き寄せられ、
広い胸に体を預ける。
かつてあたしには幹生以外に、
こうして体を寄せ合った相手がいた。
それが、双子の妹。
姫衣だ。
親に捨てられ施設で育ったあたしたちは、
互いなしには生きていられなかった。
双子なのに体があたしより小さくて可愛らしかった姫衣。
姉として守るべき存在で、
姫衣はあたしを頼り、甘えてくれていた。
あの頃は、心から姫衣を愛していた。
「でも小学校に上がって少しした頃、名取の会長が施設に来たの。目的は……後継者探し」
あたしは気づけば、
幹生に昔話を語っていた。
たぶん幹生はすべて知っているのだろうけれど、
当事者にしかわからないこともある。
ただそれを誰かに聞いて欲しかった。